no_taste’s blog

高卒ニートが大学受験を目指すブログ

赤チャート数学Ⅰ+A、つまづき4つ目

例題で初めてつまづいてしまった。例題の解説が分からない(p.166 例題111)。

 

例題111 関数の値域への応用

(1) 関数 y = 2x2 - 5x + 1 の値域を,この等式を満たす実数 x が存在するような y の値の範囲として求めよ。

(2) 関数 y = 3x / (x2 + x + 1) の値域を求めよ。

 

赤チャートでは、この例題に対して次のような解説がついていた。

 

[指針] (1) 2次関数の値域は,普通は基本形に直して求めるが,例題 110 同様に,実数条件 (D ≧ 0) を利用して求める方法もある。x, y の等式を x について整理すると

       2x2 - 5x + (1 - y) = 0

 x の値は実数であるから D ≧ 0 これから y の値の範囲が求められる。

(2) このような分数の形をした関数は数学Ⅰの範囲外だが,(1) の方法が使える。

 x, y の等式の分母を払って,x について整理すると

       yx2 + (y - 3)x + y = 0

 x の値は実数であるから,y ≠ 0 のとき D ≧ 0

 y = 0 のとき,判別式は使えないから,別扱いにして調べる。

[答案] (1) y = 2x2 - 5x + 1 から 2x2 - 5x + (1 - y) = 0

 これを x の2次方程式とみて,判別式を D とすると,x の値が実数であるから

    D = (-5)2 - 4・2・(1 - y) = 17 + 8y ≧ 0

 よって,求める値域は y ≧ - 17 / 8

(2) x が実数のとき x2 + x + 1 = (x + 1/2)2 + 3/4 ≠ 0

 y = 3x / (x2 + x + 1) の両辺に x2 + x + 1 を掛けて

       y(x2 + x + 1) = 3x

 x について整理すると yx2 + (y - 3)x + y = 0 …… ①

 [1] y ≠ 0 のとき,x の2次方程式 ① の判別式を D とすると,①が実数解を持つための条件は

    D = (y - 3)2 - 4・y・y = -3(y2 + 2y - 3) = -3(y + 3)(y - 1) ≧ 0

 y ≠ 0 に注意して解くと -3 ≦ y < 0, 0 < y ≦ 1

 [2] y = 0 のとき,① は 3x = 0 となり,実数解 x = 0 を持つ。

 [1],[2] から,求める値域は -3 ≦ y ≦ 1

 

この解説は直感的に分からず、お手上げだ。

とくに (2) で、なぜ分母を払って x について整理してしまうのかも、

その演算がグラフ上で、どのような操作に当たるかも分からない。

 

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(2) の関数のグラフを描いてみると図になり、y は ± の ∞ に発散することなく、

x を +∞ に飛ばすと y は +0 に収束し、x を -∞ に飛ばすと y は -0 に収束する。

だから値域が有限範囲であることは分かるが、それが判別式で求まるのは不思議だ。


 

例題解説に戻って整理すると、赤チャートの主張は以下のようになる。

「関数 f の値域は {y | ∃x∈ℝ[y = f(x)]}⊆ℝである」

この命題が真であれば、(2) の解説も納得がいく。

 

f(x) = 3x / (x2 + x + 1) とすると、値域は {y | ∃x∈ℝ[y = f(x)]}⊆ℝ である。

∃x∈ℝ [y = 3x / (x2 + x + 1)]

⇔∃x∈ℝ [y(x2 + x + 1) = 3x] (∵∀x∈ℝ [x2 + x + 1 ≠ 0])

⇔∃x∈ℝ [yx2 + (y - 3)x + y) = 0]

⇔ (y ≠ 0 ∧ (y - 3)2 - 4y2 ≧ 0) ∨ (y = 0) (∵If y ≠ 0 判別式,If y = 0 x = 0)

⇔ (y ≠ 0 ∧ -3(y + 3)(y - 1) ≧ 0) ∨ (y = 0)

⇔ -3 ≦ y ≦ 1

よって値域は -3 ≦ y ≦ 1 を満たすすべての実数 y。

 

じつは、上述の命題は数学的な値域 (range) の定義にほかならない。

例題解説が分からなかった理由は、高校数学での「値域」がグラフをもとに

直感的に導入された概念で、厳密な定義がないことにあったわけだ。